昨年11月中旬の夕暮れ、長崎県対馬市厳原(いづはら)町の厳原本川をはさんで飲食店やホテルが立ち並ぶ繁華街、川端通りに繰り出した。厳原町は鎌倉時代から600年以上にわたり対馬を統治した宗家10万石の城下町だった場所だ。 「ここの1、2階は韓国料理店」「ここは韓国人の元ガイドが経営」「ここは、韓国人がオーナーで対馬人が従業員。今年オープンした」 一般社団法人IIFG副理事長で対馬協議会事務局長の友納徹さん(64)が声を潜めながら案内してくれた。「日本人名義だが、実質経営者は韓国人という飲食店が増えてきた。そういう店に対馬の人たちが雇われている」 10人ぐらいの韓国人観光客らしいグループが酒に酔っているのか、何やら声を張り上げながら闊歩(かっぽ)している。日本人の姿はない。 スナックやバーが立ち並ぶ裏通りに入って驚いた。5年前に島を訪れたときと比べて明かりが少なく、人影もまばらだ。以前は目につい
