米国とウクライナが締結したウクライナの鉱物資源に関する経済協定は、ゼレンスキー大統領がトランプ大統領をつなぎ止める意味しかない。ウクライナの資源活用は昨年9月、ゼレンスキー氏が大統領候補だったトランプ氏と面会した際に伝え、外交を「取引(ディール)」と位置づけるトランプ氏を喜ばせた。2月末の首脳会談でメディアの前で激しい口論を繰り広げた両者の溝を埋めるのがこの経済協定だ。 米国は4月末現在で、650 億ドル(約9兆4000億円)相当の武器・弾薬を供与してウクライナを支えている。トランプ氏は協定を軍事支援の費用回収と位置づけていたが、協定には返済義務を定めた条項は含まれていない。それでもトランプ氏が締結を進めたのは、自らが中国に課した145 %の追加関税により、中国からの輸入に頼っているレアアースの安定的な供給が受けられなくなるためだ。 レアアースがなければハイテク製品は作れない。「製造業の復
